詳細な診療情報 整形外科
脊椎脊髄外科
主に頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症・腰椎分離すべり症等の変性疾患、脊椎の破裂骨折や脱臼、骨粗鬆症性の脊椎圧迫骨折、脊髄(髄外)腫瘍・馬尾腫瘍などの手術治療を行っています。
当院は日本脊椎脊髄病学会認定研修施設で、現在3名の脊椎脊髄外科専門医が在籍しております。
頸椎
頚椎症・後縦靭帯骨化症・椎間板ヘルニアによる頚髄症の後方除圧手術は、必要な高位だけを除圧する選択的椎弓形成術を採用しています。頚椎に後弯変形やすべりなどの不安定性がある場合は後方除圧術だけでは効果が得られないため前方あるいは後方から矯正固定術を行うこともあります。
頚椎神経根症に対しては保存治療が原則のため神経根ブロックや硬膜外ブロックなどを試すことが多いですが、保存治療が奏功しないときは後方からの椎間孔拡大術もしくは前方からの除圧固定術を行っています。
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胸椎
胸椎部の脊髄障害(胸髄症)は、後縦靭帯骨化症や黄色靭帯骨化症などの変性疾患・外傷性の胸椎骨折・癌の脊椎転移などが原因で起きますが、胸椎には生理的な後弯カーブがあるため治療に難渋すること少なくありません。後方除圧術では不十分・危険と考えられる場合は後方固定術を併用します。
腰椎
腰椎椎間板ヘルニアによる下肢痛に対しては、まず神経根ブロックや仙骨硬膜外ブロックなどの保存治療を徹底しますが、それでも疼痛が強い場合には手術治療を選択します。手術は、顕微鏡を用いた髄核摘出術を行っています(レーザー手術や内視鏡手術は行っていません)。後縦靭帯下脱出型のヘルニアには「ヘルニコア(椎間板内酵素注入療法)」も行っています。
腰部脊柱管狭窄症には後方除圧術を行いますが、腰椎すべり症や変性側弯症など不安定性が強い場合には固定術を併用します(除圧固定術)。この除圧固定術は、後方から行うPLIFやTLIFあるいは側方から行うOLIFなどを採用しています。しかし、脊椎固定術は長期的には弊害もあるため適応を絞って行っています。
脊椎圧迫骨折
骨粗鬆症性の脊椎骨折に対しては、侵襲の非常に小さい経皮的椎体形成術(BKP)を積極的に行っています(年間約40~50件)。80歳代の方が一番多いですが、90歳を越える超高齢の方(最高98歳)もみえます。骨折を受傷した直後であっても強い疼痛のために体動が困難で自宅で生活できないなどの場合は早期のBKPをおすすめしています。また、脊椎の長大な骨性架橋により背骨の可動性がなくなり強直してしまう特発性びまん性骨増殖症(DISH)が高齢者に非常に多くみられますが、このDISHを合併している場合は骨折が癒合しにくくずれやすいため早期にBKPを行うことが重要です。BKPは、術後速やかに疼痛の改善が得られることが多く、術翌日からリハビリが可能になることや脊椎の後弯変形(腰曲がり)が矯正されることなどのメリットがあります。脊椎骨折から数か月以上経過した陳旧例であってもBKPの適応がある場合がありますのでご相談ください。
脊椎脊髄外科専門医の診察は、月曜日、水曜日、木曜日、金曜日です。
手の外科
「手の外科」では主に、肘関節・手関節を含め、手指の先端までのさまざまな疾患を対象として治療を行っています。当院は日本手外科学会認定研修施設で、2名の日本手外科学会認定手外科専門医が在籍しております。
手・指の外傷
交通事故、労働災害による手や指の脱臼・骨折・挫滅創などの治療を行います。開放性の骨折や神経断裂などの高度損傷は、最初の段階でいかに適切な治療を受けられるかが、手の機能の大きな分かれ目となります。スポーツ中の突き指・脱臼などは、スポーツへの復帰を念頭に置いた治療を行っています。
腱鞘炎と関節変形
手指の痛みの原因として多いのが、腱鞘炎、関節炎・関節症(関節の老化)によるものです。腱鞘炎に対しては注射や手術が効果的です。関節炎・関節症に対しては適切な装具(サポーター・テーピングなど)による治療や、必要に応じて手術を行います。
上肢の神経障害
手首や肘で神経が圧迫されると、手指のしびれ・痛みを生じます。手の外科外来では、これらの疾患に対する理解を深めていただくために、分かりやすいパンフレットを用意して説明させていただいています。また、薬物・装具による保存療法や、手術治療を行っています。
肘関節の外傷
当院の手外科専門医2名は、日本肘関節学会の評議員も務めており、肘関節の治療に多く携わってきました。肘関節は上肢の中央に位置する関節で、しっかり曲げられないと手が顔や口に届かないことになり、食事や身なりを整えるという日常生活動作が困難になります。肘関節の脱臼や骨折の治療には、専門的な知識・技術が必要で、また、術後のリハビリも非常に重要です。
小児の手・足の変形と機能障害の治療
当院手外科の特徴として、小児の手足の変形に対する専門的治療を行っています。生まれつきの変形、けがをしたために生じた変形、発育障害などに対する専門的治療が可能です。小児科・麻酔科・ハンドセラピストとの連携のもと、親子とも安心して、最新の治療が受けていただけるよう体制を整えています。
現在手の外科外来は、月曜日、火曜日、木曜日となっています。
スポーツ内視鏡関節外科
整形外科的スポーツ傷害・外傷全般を診療しています。手術治療は関節鏡を用いた手術を中心に行っています。関節鏡視下手術は直視下手術(従来の切開する手術)に比べて手術創が小さく低侵襲で、術後の疼痛が軽減されます。さらに創が小さいことで、関節周囲筋肉の機能をあまり低下させずに早期かつ確実なスポーツ復帰を目指しています。
膝関節
- 膝靭帯損傷に対する関節鏡下前十字・後十字靭帯再建術・内外側側副靭帯再建術
- 半月板損傷に対する半月板縫合術・切除術
- 膝蓋骨脱臼に対する内側膝蓋大腿靭帯再建術
- 変形性関節症に対する人工関節置換術・骨切り術・関節形成術・骨軟骨柱移植術・関節固定術
- 軟骨欠損に対する自家骨軟骨移植術・自家培養軟骨移植術
肩関節
- 肩関節脱臼に対する関節鏡下バンカート修復術
- 肩腱板損傷に対する関節鏡下腱板修復術・関節鏡下上方関節包再建術・リバース型人工関節置換術
- 変形性関節症に対する人工関節置換術
- 野球肩肘障害に対する投球フォーム指導
肘関節
- 離断性骨軟骨炎に対する関節鏡下骨軟骨固定術・ドリリング・自家骨軟骨移植術
- 投球フォーム指導
- 関節内遊離体に対する関節鏡下摘出術
足関節
- 足関節捻挫に対する靭帯再建術
- 腓骨筋腱脱臼に対する修復術・制動術
- 距骨骨軟骨損傷に対する自家骨軟骨移植術
- 足関節インピンジメントに対する関節鏡下遊離体摘出術・滑膜切除術・骨棘切除術
股関節
- 股関節インピンジメントに対する関節鏡下股関節唇形成術
- 滑膜性骨軟骨腫症
- 関節内遊離体に対する関節鏡下摘出術・滑膜切除術
スポーツ疾患は、保存療法(手術を行わない治療)で完治する場合と手術療法が必要な場合があり、適正な診断・治療・手術・リハビリテーションが必要です。リハビリでは、スポーツ復帰を目指すことを第一に、パフォーマンス向上と障害予防に有効なフォーム指導を行います。
また、スポーツ専門医が所属スポーツ団体のチームドクターとして全国各地の試合、合宿に同行し、初期治療、予防処置に対応しています。スポーツ関節外科専門医の診察は、火曜日、木曜日に行っています。
リウマチ科
関節リウマチに対する薬物療法を行っています
関節リウマチは自己免疫の異常により、主に四肢の関節に炎症が起こり、腫脹や疼痛を生じる炎症性自己免疫疾患です。無治療であったり、疾患コントロールがうまくいかないと、関節の破壊によって、変形や機能障害(使えなくなること)を来すことがあります。現在では、早期に発見して適切な治療を行うことで多くの場合、関節破壊の増悪を抑えることができるようになりました。
当科では、現在約400人のリウマチ患者さんの治療を行っています。従来の抗リウマチ薬に加え、近年開発された新しい薬剤(生物学的製剤、JAK阻害薬など)も投与可能であり、既存の抗リウマチ薬で十分な効果が認められなかった症例にもその効果が期待できます。生物学的製剤は、現在約100症例以上の患者さんに投与を行っています。新しい薬剤の使用については症状、副作用、費用など患者さんと相談のうえ、適切な薬剤を選択しています。これらの新しい薬剤について疑問点などありましたらご相談ください。
関節リウマチ専門医の診察は、水曜日・金曜日の午前および火曜日・金曜日の午後に行っています。
下肢の変形性関節症に対する人工関節手術
股関節
変形性股関節症や大腿骨頭壊死などに対する人工股関節全置換術(THA)は股関節専門医が行っています。
股関節専門外来は第2・第4の水曜日の午後です(紹介状があれば初診でも予約可能です)。
膝関節
変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術(TKA)も積極的に行っています。適応があれば負担の少ないUKA(内側だけの片側人工膝関節置換術)も行っています。
膝関節専門医の診察は火曜日と木曜日です。
日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)に関するお知らせ
2020年4月より日本整形外科学会が運動器疾患の手術に関する全国規模のデータベースを作成しています。当院整形外科もこの研究に参加し、運動器の怪我や病気で手術をした患者さんの診療情報をデータベースに登録します。
この研究を実施することによる患者さんへの新たな負担は一切ありません。また、患者さんのプライバシーの保護については法令等を遵守します。
あなたの情報の本研究への登録についてご了承いただけない場合は、担当医師あるいは当院にご連絡いただくか、あるいは登録データ削除申請書(日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)登録データ削除申請書)を病院に提出してください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。なお、お申し出が既に解析を開始又は結果公表等の後になった場合では当該措置を講じることが困難な場合もございますので、ご理解いただきますようお願い申し上げます。