急性期の脳卒中を24時間体制で受け入れています。
早期リハビリで機能回復に努め、地域への転院も支援しています。
脳卒中科は、急性期脳血管障害患者さんの診療を行う科です。現在は、脳神経内科と脳神経外科を中心に両科が協力して、救命救急センターを窓口とし、急性期の脳卒中患者さんを24時間体制で受け入れています。脳神経内科は主に脳梗塞と脳出血、脳神経外科は脳出血(手術を要するもの)とくも膜下出血の診療を行っています。
基本的には、「脳卒中治療ガイドライン2015」に従って治療を行いながら、常に最新の治療法を取り入れて診療を行っています。脳梗塞の急性期診療ではt-PA静脈注射による血栓溶解療法のほか、カテーテルを用いた選択的血栓溶解療法や狭窄血管の血管形成術(バルーン拡張術)も緊急対応が可能です。くも膜下出血の治療では、従来から行われてきた開頭手術に加えて、脳血管内手術(脳動脈瘤コイル塞栓術)による治療も積極的に取り入れ、近年治療件数も増えてきています。
また、入院直後からリハビリ科との連携により早期リハビリを実施し、より良い機能回復に努めています。
主な疾患
- 脳梗塞(BAD、アテローム血栓性梗塞、心原性塞栓、ラクナ梗塞など)
- 脳出血
- くも膜下出血
- 一過性脳虚血発作(TIA)
脳卒中科の特徴
脳卒中とは
「脳卒中」とは、突然脳へ行く血管が詰まったり破れたりして起こる病気です。その中には、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などがあり、脳血管障害とも呼ばれています。急に、意識がなくなる、倒れてしまう、手足が動かなくなる、喋れなくなる、目が見えなくなる、物が二重に見える、といった症状が起こります。
脳卒中による年間死亡者数は、悪性新生物(がん)、心疾患、老衰に次いで多く、死亡原因の第4位を占めています。また、一度発症すると社会復帰、職場復帰できる率が他の疾患と比べて低く、手足や言葉に不自由を残し寝たきり状態に陥る可能性があります。長期の療養や介護が必要になると、ご家族にも多大な社会的経済的負担を与えることになります。
最近まで、脳卒中は「治らない病気」と思われていましたが、近年の目覚ましい医療技術や医療機器の進歩、診断力の向上により、脳卒中は急性期に適切な治療を開始することにより、患者さんの後遺症を大幅に少なくできることが分かってきました。
不幸にして脳卒中を発症してしまったら、できるだけ早く診断をつけて適切な治療、リハビリテーションを行い、機能障害を最小限に食い止める必要があります。つまり、早期の診断と治療の開始が非常に重要となります。
当院では、急性期の薬物治療(点滴や内服薬)・手術・急性期リハビリテーションなどを全力を挙げ集中的に行っています。それらが終了すれば、回復期リハビリの専門病院へ、そしてかかりつけ医へと「地域完結型」の脳卒中診療システムを確立していきたいと考えています。その後の在宅介護や施設入所、他院への転院などについては、当院の医療相談室(医療社会事業部)が対応していますので、いつでもご相談ください。
脳血管内手術の紹介
足の付け根から血管内に通したカテーテルという極細の管を使って治療する方法です。X線で透視しながら注意深くカテーテルを病変部に進めていきます。脳動脈瘤の治療では、プラチナ製の治療用のコイルを使い、動脈瘤の中を詰めて破裂を予防します(脳動脈瘤塞栓術)。血管の中から治療するので、開頭手術と比べ患者さんの負担が軽く、ご高齢の方や、体の状態の悪い方でも治療が可能です。
脳血管内手術は開頭手術と比べ、「小さな傷(針を刺した穴のみ)で治療ができる」「脳自体を触らずに治療ができる」「入院期間が短期間で済む」などのメリットがありますが、全ての病変の治療ができるわけではありません。しかし、今も新しい機材が開発され続けており、治療の安全性・確実性はどんどん向上してきています。
その他、血管内手術では、狭くなった脳血管を広げるステント留置術、詰まってしまった脳血管の血流を再開させる血栓溶解術・血管形成術、脳動静脈奇形の塞栓術や脳腫瘍・頭頚部腫瘍の動注化学療法・塞栓術も行っています。
(矢印の先が脳動脈瘤)
頚動脈ステント留置術
(矢印の先が狭窄部)