ISO15189を取得した精度の高い検査で組織や細胞を観察。
難病の診断で、一人一人の患者さんを最適な治療につなげます。
病理部・細胞診分子病理診断部は、顕微鏡による病理診断(病理組織診、細胞診、病理解剖)を行う部門です。臨床検査法の進歩により、臨床診断の精度は向上しましたが、がんや難しい病気の最終診断は病理診断により成されます。そして、この診断に基づき、治療方針や予後が決定されるため、病理は医療の中で大変重要な位置を占めています。
各科の先生方は、病変部から採取した検体の組織診を病理に依頼し、病理医は組織や細胞の異常を詳細に観察した後、慎重に診断を下します。
細胞診は、ごく微量な検体中にがん細胞があるかどうかを判定する検査で、資格を持つ検査技師がスクリーニングを担当し、病理医のもとで診断も行います。
また病理解剖は、ご家族の了解のうえ、患者さんのご遺体を解剖させていただき、死因、臨床診断や治療の適否を病理学的に検討するものです。これは、内科研修病院に義務付けられた研修・研究業務で、病院の医療水準を向上させるうえで必要不可欠なものです。
病理医は、直接患者さんと接することはありませんが、各科の先生方と連絡を取り合い、正確で、質の高い医療を提供できるよう努力しています。
病理部の特徴
- 通常の病理組織検査に加え、免疫染色や、遺伝子検索により、治療選択に重要な情報を提供します。特に、分子標的治療などの先進的治療にはこれら情報が必須で、当院では先進的な診断手技を用いた診断を行っています。
- FISH/PCR法を用いた遺伝子検索(細胞、組織)
造血器腫瘍、移植後キメラ解析、肺がん(EGFR gene)、乳がん(HER-2 gene)、脳腫瘍(t (1;19)) - 骨髄移植の病理、造血器疾患の病理診断では、全国からコンサルテーションを多数受け入れています。セカンドオピニオンの病理診断も受け付けています。
ISO15189の取得について
当院病理部、細胞診・分子病理診断部は、2019年5月24日付で国際標準化機構(International Organizing for Standardization:ISO)15189を取得しました。病理診断部門単独での取得は、国内での認定第一号となります。
ISO15189とは、ヒトの検体を取り扱う臨床検査室の品質と能力に関して、国際標準化機構が検査室向けに作成した国際規格です。その審査に合格するには、検査を依頼する臨床医や患者さんの要求を満たすため、必要な目標が定められ、その目標を実現するための検査室運営の仕組みが文書できちんと規定されていること、また検査室の作業環境、標本作製から診断、報告などの技術的な要件が十分満たされていることが求められます。ISO15189に基づいた病理検査室運営を行うことにより、検査結果の精度の向上、良質な検査結果の提供が期待できます。
最近では、がんの組織を用いて多数の遺伝子を同時に調べることにより、がんの遺伝子異常を明らかにし、患者さん一人一人に合ったがん治療を提供できるようにするがんゲノム医療の必要性が高まってきています。ISO15189の取得により、病理部門における遺伝子診断の重要性が増していくことが予想されます。私どもは、今まで以上に病理診断の信頼性と技術能力向上を目指し、医療に貢献していきたいと考えています。