地域活動

災害救護活動

災害救護活動

赤十字の災害救護活動

日本赤十字社の救護活動は、ジュネーブ条約、赤十字国際会議の決議、日本赤十字社法および同定款にその基盤を置いています。

また、災害救助法には、日本赤十字社に対し救助への協力義務が規定されており、その具体的な内容については「内閣府特命担当大臣(防災)との協定」により取り決められています。

さらに、災害、有事および感染症への対策に関する各法律において、日本赤十字社は「指定公共機関」として位置付けられ、救護規則、防災業務計画等を定め救護を実施しています。

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院災害救護活動

上記法令、規則などに基づく、日本赤十字社本社、日本赤十字社都道府県支部、各施設の災害救護に関する指揮命令の組織構築により、当院では日本赤十字社愛知県支部長の指揮により活動を行いますが、病院近郊での災害の発生、また支部との通信が途絶えた場合の緊急救助救護活動を必要とする場合においては、病院長の指揮により活動を行います。
災害時の緊急患者の受け入れは、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院災害救護計画に基づき、救急センターでの受け入れを開始し、災害の規模により院内対策本部を設置し、災害拠点病院としての救護活動を行います。

救護班の体制

医師、看護師長、薬剤師、助産婦、看護師、主事、車両・無線取扱などのスタッフで構成する救護班を10個班(1個班7人~10人構成)常設し、いつでも出動できる体制を整えています。

救護資器材の整備

救護班の出動ならびに災害時の受け入れに際しての必要資器材の整備を常時しています。
主な資器材としては、救急車2台、支援車2台、救護所設営用テント4張、折りたたみベッド100、毛布200、診療セット2式、ポータブル自家発電機、人工呼吸器、蘇生器、救護ユニホーム個人装備品、固定無線局、車両無線機4(他)

救護活動訓練および研修

万一の災害救護活動に備え、日本赤十字社本社、日本赤十字社愛知県支部、愛知県、名古屋市などが行う訓練、研修への参加および院内の教育訓練を行っています。また、災害拠点病院として愛知県および愛知県医師会との無線訓練を定期的に実施しています。

(主な救護訓練および研修)

  • 愛知県支部救護班要員訓練(2個班14人参加、2泊3日)
  • 愛知県総合防災救護訓練(1個班6人参加)
  • 名古屋市民総ぐるみ防災訓練(1個班6人参加)
  • 名古屋空港消火救護総合訓練(1個班6人参加)
  • 日本赤十字社第3ブロック支部合同災害救護訓練(1個班6人参加)
  • 海上保安庁洋上救急慣熟訓練(医師、看護師長、看護師参加)
  • 愛知県総合防災石油コンビナート防災救護訓練(1個班6人参加)
  • 日本赤十字社本社救護班要員指導者養成研修会(医師、看護師長、主事)
  • 日本赤十字社本社医師救護班要員指導者養成研修会
  • 災害救護に関する院内教育訓練6日間 40人参加
  • 院内トリアージ訓練
  • 多数患者受け入れ訓練
  • 多数患者受け入れ机上シミュレーション訓練(他)

国内救護班派遣活動

特に近年国内でも多くの災害が発生し、災害救護活動に当たっています。

2019年度台風19号災害における当院の災害救護活動

2019年10月12日に東日本へ上陸し、多くの地域に甚大な被害をもたらした台風19号。当院は被災地域における救護活動のため、長野県へ救護班(注1)1個班を派遣しました。

派遣日時:2019年10月20日(日曜日)から10月23日(水曜日)まで
派遣職員:6人【医師1人、看護師長1人、看護師2人、主事(注2)2人(薬剤師、臨床検査技師)】

救護班はまず、日本赤十字社長野県支部へ集結した後、長野市保健所へと移動。そこでの指示により、長野市内の小学校に設置された避難所における支援のニーズ調査などに取り組みました。
本災害に対する日本赤十字社の対応の一翼を担い、3日間懸命に救護活動に従事しました。

  • (注1)「救護班」とは日本赤十字社の定めている、被災地域への医療救護活動の実施のために派遣される、基本単位のことです。基本構成は【医師1:看護師長1:看護師2:主事2】の6人となります。
  • (注2)「主事」とは主に災害救護における診療行為以外の事務的な業務(記録・情報収集・調整など)に従事する職員のことです。事務系職員のほか、薬剤師や臨床検査技師などといったコメディカルの職員もその業務を担います。

2018年7月豪雨災害の救護活動

救護班第1班は、2018年7月16日(月)現地での活動を終え、無事帰班しました。
7月27日、広島県呉市天応地区に向け、第2班が出発しました。28日より救護活動を開始する予定です。

2018年台風第7号および前線などに伴う大雨災害に対して、被災地で医療救護活動を行うため、医師1人、看護師3人、薬剤師1人、主事(事務職員)2人から成る救護班が7月12日に現地に向けて出発しました。救護班は12日深夜広島県へ到着し、13日より同県呉市天応地区にて救護所を立ち上げ、活動開始予定です。

熊本地震災害の救護活動

2016年4月14日(木曜日)に発生した熊本地震により大きな被害が出ていることから、日本赤十字社愛知県支部、名古屋第二赤十字病院とともに4月16日(土曜日)14時に当院の救護班第1班を派遣しました。救護班は、医師1人、看護師3人、薬剤師1人、主事(事務職員)2人の合計7人で、4月17日(日曜日)18時30分現地災害対策本部に到着、翌日4月18日から熊本市東区で避難所となっている小・中学校などを巡回しアセスメントを中心に活動を行い、4月20日(水曜日)に第1班は無事帰還しました。また、引き続き4月27日(水曜日)からは、医師1人、看護師3人、薬剤師1人ら7人で構成する救護班第2班を派遣しました。一方、被災地の熊本赤十字病院へは、医師、看護師、助産師、事務らを病院支援要員として派遣したほか、こころのケア班も派遣し、同地震災害へは、延べ28人を派遣しました。

熊本地震災派遣実績(PDF)

東日本大震災の救護活動

2011年3月11日14時46分ごろに三陸沖を震源に発生したマグニチュード9.0の地震により、宮城県を中心として各地が甚大な被害を受けました。被災地では余震が続く中、懸命の救助活動が行われていますが、津波による家屋などの損壊が著しく、被害状況が深刻化しています。当院では、被災地の災害救護のため、地震発生から約3時間後に派遣した第1班をはじめとして、続々と被災地に救護班を派遣しています。壊滅的な被害状況から、継続的に救護班を編成、現地へ派遣して被災者の救護に当たりました。また、救護班以外にも、被災地の石巻赤十字病院の支援を目的として、病院支援要員や広報支援要員を派遣したほか、石巻地区本部支援要員、こころのケア要員らを含め、延べ132人の職員を派遣しました。

東日本大震災派遣実績(PDF)

新潟県中越沖地震活動報告

平成19年7月18日~20日の3日間、新潟県中越沖地震の被災地、柏崎市で災害救護活動を行ってきました。今回は名古屋第二赤十字病院と合同で救護班を結成し、愛知県支部として初のdERU(国内型緊急対応ユニット)を展開、救護活動に活用しました。
dERUは大型エアテント、その他の救護用品がコンテナに収納してあり、トラックで容易に移動ができるため、災害直後に出動することができます。被災地に到着後、約1時間で展開し、救護所を開設することができます。もちろん、発電機などを装備しており自己完結的活動が可能なユニットです。愛知県支部には一昨年に配備され、これまで訓練を重ねてきました、今回は地震当日の夕方に愛知県を出発、翌日の午後には現地で診療を開始しています。dERUの導入により、これまでのように避難所の一部をお借りして救護所を運営するのに比べ、機動性が格段に向上し、安定した救護活動が行えるようになりました。特に地震には強く、今回も救護活動中に余震が何回か起こりましたが、dERUはエアテントですので、二次災害の危険はほとんど感じませんでした。
今回救護活動を行った、柏崎市高浜地区は市中心部よりかなり離れており、いわゆる「無医地区」に相当する地域です。地震により、周辺地区とを結ぶ道路が通行困難となり、さらに柏崎市街地とを結ぶトンネルも崩壊の危険があり通行止めになり、ほぼ孤立状態となってしまいました。この厳しい場所に赤十字の救護活動拠点ができたことで、地域の皆さんは大変に安心されたようです。今後、災害亜急性期から慢性期にかけて、食中毒などの感染症の発生への危惧とともに、高齢者中心の地域ですので、行政を含めてどのようなかたちで復興支援をしていくかが課題であると感じました。
ここ数年、日本海側で地震が多く発生していますが、私たちの住む地域も、東海・東南海・南海地震がいつ起こってもおかしくない地域です。「明日はわが身」かも知れません。皆さんも、今回の地震災害を決して「対岸の火事」と思うことのないよう、今一度「家庭の防災」、「地域の防災」を考えるきっかけとしていただけたらと思います。最後に、今回の地震により被災された地域の一刻も早い復興に向けてのご支援をよろしくお願いいたします。

能登半島地震救護活動報告

平成19年3月27日、28日、能登半島地震で最大の被害を受けた輪島市門前町で救護活動を行ってきました。
まだ地震の2日後でしたので、引き継いだ救護所のある門前会館(3階建ての大きな公民館のような建物)には、高齢者を中心に約300名の方が避難されていました。救護所には40名ほどが受診されましたが、軽い外傷や呼吸器症状の方のほかに、不眠や不安を訴えられる方が多かったように思います。
断水でトイレが使えず、3階の体育館に避難されている方も建物外の仮設トイレまで降りなくてはいけません。余震が続いていましたので、避難しやすいように夜間も電気はつけたままでした。人間やはり環境が変わるだけで寝付けないこともありますし、ましてや昼夜なく明るくては落ち着いて眠れません。そこに余震が来ます。私たちも救護所で仮眠をとったのですが、一晩で3回ほど余震があり飛び起きました。救護する側は滞在時間が限られており、帰るところがありますが、避難されている方々にはそれがありません。先の見通しが立たない中、避難所で生活されている方々のストレスはどれほどのものでしょうか。
赤十字の救護活動では「心のケア」としてのストレス対策が重要視されています。今、災害時には、人と物の支援は早期からかなりの量が投入されるようになりました。今後はより一層、被災者の「こころ」の問題も考えた、質の高い救護活動が求められると思います。 今回、救護班は救護所での診療に加え、巡回診療、食事の配給、足の悪い方の階段の介助、仮設トイレが使えない方への特製トイレ作りなどの活動を行いました。被害は大きく、全壊した建物も多数ありました。復興には時間がかかると思いますが、今なお避難されている方々が、一日でも早く、安心して暗い所で眠れる日が来ることを願わずにはいられません。

その他救護班派遣活動

  • 新潟県中越地震に対するこころのケア 2004年12月4日~8日 看護師2人派遣
  • 新潟県中越地震災害救護 2004年11月6日~8日 1個班を派遣
  • 新潟県中越地震災害救護 2004年10月29日~30日 1個班を派遣
  • 福井県豪雨災害救護 2004年7月26日~27日 1個班を派遣
  • 東海豪雨災害救護 2000年9月13日~9月23日の間に9個班を派遣
  • 北海道有珠山火山災害救護 2000年5月17日~20日 1個班を派遣
  • 阪神淡路大震災救護 1995年1月18日~3月4日の間に6個班の派遣および神戸赤十字病院に、薬剤師、看護師を業務支援派遣
  • 名古屋空港墜落事故災害救護 1994年4月26日~28日の間に6回にわたり、48人を派遣
    台風17号による佐織町目比川災害救護 1976年9月12日~21日の間に医師7人、看護師12人をはじめ24人を派遣
  • 西三河豪雨災害救護 1972年7月13日 医師4人、看護師15人派遣
  • 名鉄電車追突事故災害救護 1964年3月29日 救護要員派遣
  • 小牧空港事故災害救護 1960年3月16日 医師1人、看護師5人、主事1人を派遣
  • 名古屋中央郵便局火災救護 1960年9月 医師1人、看護師4人をはじめ計8人を派遣
  • 伊勢湾台風災害救護 1959年9月26日~3カ月間 医師629人、看護師649人
  • ほか996人の計2,274人を派遣

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日本赤十字社 愛知医療センター