「コロナ後」が近づく新年度にあたり
院長 錦見 尚道
桜の開花宣言が早くお花見の時期を逸したかと思いましたが、4月まで葉桜にならずに咲いている場所も何カ所かあるようです。新型コロナ感染症関連では、3月からマスク装着が原則として個人の判断に委ねられ、5月の連休明けに感染症分類がインフルエンザと同じ5類となります。
新年度になり、当院に新入職員を迎えました。未だ、集合研修などはコロナ前のように一つの講堂でなく複数の場所に分けていますが、次年度には講堂だけで行えるようになると思っています。
当院では「コロナ治療のために入院した」患者さんは激減しています。今までは入院する患者さんに、入院前コロナ感染検査をお願いしてきました。わずかですが、入院前検査では少量で発見できなかったウイルスが増え、入院後の喉の痛みや発熱がおきて、再検査でコロナウイルスが検出される患者さんがみえます。こうした患者さんは、コロナが入院治療の目的の病気ではありません。入院している病棟が、入院理由の病気を専門に扱っている病棟です。そのためコロナ感染用の専用病棟ではなく、その病棟の個室で、コロナが他の患者さんや職員へ拡大しないよう個人用感染防護具を付けた職員が担当する事にしています。普通の風邪程度に軽い症状の時は自宅療養をお願いし、再入院を予定する事もあります。
数年に亘って入院前のコロナ感染検査をしていましたが、全ては検出できないので、検体提出のご足労をお掛けしていた入院前検査を中止する予定にしています。体温測定などの入院前健康観察は続けます。一方、身体の免疫力を一時的に低下させる強力な薬物療法や、診療科が検査を必要と判断した患者さんには、入院前のコロナ感染検査を行いますので、主治医の指示に従って戴けますようお願いします。
コロナがインフルエンザと同じ5類感染症になっても、行政的な扱いが変わるだけでウイルスは変わりません。そのウイルスに対しての抗体を持つヒトは、ウイルスに対抗できます。麻疹(はしか)ウイルスの抗体は多くの日本人が持っているので、一般には一生に1回だけかかる、と言われています。抗体をもつ人が6割を越えると、ウイルス感染症の大流行が発生しにくくなるそうです。海外では80%を超えている国もあるそうですが、日本の献血血液からのデータでは、本年2月で42%程度のようです。今後もコロナワクチン接種などによって抗体保有率が高まり、真にインフルエンザと同様に扱える日が来ることを祈念しています。
最後になりましたが、コロナ禍で中止・縮小していた地域交流の行事は、本年度から復旧・再開していきます。地域の方々のご健康を守り、共に発展する病院として尽くして行きますので、旧倍のご協力を宜しくお願いいたします。
2023年4月
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院
院長 錦見 尚道