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泌尿器科

腹腔鏡手術

 腹腔鏡手術では 腹部に開けた小孔から、内視鏡や手術用器具を用いて手術を行います。患者さんにとっては外見的に傷が小さいだけでなく、筋肉を大きく切開しないことで、術後の回復が早く早期社会復帰ができる利点があります。手術を行う外科医の方の利点としては、からだの奥深い部分でも明るい視野で拡大して観察することができるという点に加え、気腹圧により小静脈からの出血がみられないため出血量が少ないことなどが挙げられます。

 泌尿器科分野の腎、膀胱、前立腺などの後腹膜臓器でも腹腔鏡手術が急速に普及しています。腎、副腎は体の背中側に存在し肋骨に囲まれているため、従来の開放手術では肋骨を切除したり、脇腹を大きく切開していたのですが、小孔のみの創部は患者さんにとっては大きな長所となります。さらに 当科ではできるだけ傷がのこらないような道具も使ったり(図1) 女性の患者さんで可能であれば腟からの臓器の取り出しを行うことで ほとんど傷跡の残らない(図2)方法も採用しています。

図1 細い手術道具を用いた傷跡の
残らない腹腔鏡下副腎摘除術

図2 摘出した腎は膣から取り出し 
3か所の傷跡のみ残る

 また前立腺は骨盤底の一番深い所に存在し、周囲を豊富な血管で囲まれているため、良好な視野が得ることが難しかったのですが、体の内部まで観察できる腹腔鏡を使い出血のない拡大視野の中で手術を行うことで 緻密な手術が可能な腹腔鏡手術が発展してきました。最近ではダビンチを用いたロボット支援下前立腺全摘除術も導入し勃起神経を温存する精緻な手術も可能となっています。

 腹腔鏡下副腎摘除術(図3)は 原発性アルドステロン症、クッシング症候群、内分泌非活性腺腫、褐色細胞腫などの良性副腎腫瘍に対する標準術式となっています。 ガイドラインでも腹腔鏡下腎摘除術は 7㎝以下の腎癌、腎盂尿管腫瘍などの悪性腫瘍に対しても標準術式とされています。女性泌尿器科の骨盤臓器脱に対しては経腟メッシュ手術(TVM)を国内で最も多く行っていますが、性交渉への影響が少ない腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)も選択肢として行えるようになりました。縫合技術を要する腹腔鏡下腎部分切除術(図4)、 腹腔鏡下前立腺全摘除術も当院では積極的におこなってきましたが、2018年からは手術支援ロボット(ダビンチXi)を導入しています。

図3 腹腔鏡下副腎摘除術
(褐色細胞腫)

 

図4 腎上極の腎癌に対する腹腔鏡下腎部分切除術

現在 当科で行っている 主な泌尿器科腹腔鏡手術は

  • A. 腹腔鏡下副腎摘除術(図3)
  • B. 腹腔鏡下腎摘除術 および 腹腔鏡下腎部分切除術(図4)
  • C. 腹腔鏡下腎盂形成術(図5)
  • D. ダビンチによるロボット支援下前立腺全摘除術(図6)
  • E. 腹腔鏡下膀胱全摘除術
  • F. 腹腔鏡下生検術(リンパ節、腫瘍,腎など))
    G. 腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)
  •  などです。

当科での 腹腔鏡手術実績(2012年7月-2017年12月)

  • 腹腔鏡下副腎摘除術     53例
  • 腹腔鏡下腎摘除術      190例
  • 腹腔鏡下腎部分切除術    98例
  • 腹腔鏡下前立腺全摘除術   44例
  • 腹腔鏡下腎盂形成術     20例
  • 腹腔鏡下膀胱全摘除術    3例
  • 腹腔鏡下腎生検       10例
  • 腹腔鏡下リンパ節生検      38例
    腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC) 75例

図5 水腎症に対する腹腔鏡下腎盂形成術

 

図6 ダビンチによるロボット支援下手術

業績 2008-2018

1) M.Kato、R.Hattori et al.  Prognostic parameter for high risk prostate cancer patients at initial presentation  Prostate 78:11-16,2018

2) Kato M, Hattori R et al. The presence of intraductal carcinoma of the prostate in needle biopsy is a significant prognostic factor for prostate cancer patients with distant metastasis at initial presentation. Mod Pathol. 2016 Feb;29(2):166-73.

3) TAraki, R.Hattori  et al. Relationship of pathologic factors to efficacy of sorafenib treatment in patients with metastatic clear cell renal cell carcinoma  Am J Clin Pathol 143: 492-499,2015

4) Y.Funahashi, R.Hattori, T.Yamamoto, N.Sassa, T.Fujita, M.Gotoh Effect of warm ischemia on renal function during partial nephrectomy: assessment with new 99mTc-mercaptoacetyltriglycine scintigraphy parameter. Urology 79, 160-164, 2012

5) T.Ogawa and R.Hattori Safe use of ultrasonically activated devices based on current studies. Expert Rev. Medi. Device 8, 319-324, 2011

6) R.Hattori, Y.Yoshino, T.Komatsu, Y.Matsukawa, Y.Ono, M.Gotoh . Pure laparoscopic complete excision of distal ureter with a bladder cuff for upper urinary urethelial carcinoma. World J Urol. 27(2) , 253-258 , 2009

7) R.Hattori, O.Kamihira, Y.Yoshino, F.Tsuchiya, T.Fujita, S.Yamada, Y.Funahashi, Y.Ono, M.Gotoh. Laparoscopic radical nephrectomy for large renal-cell carcinomas. J.Endourol. 23(9) ,1523-1526 ,2009

8) 松井宏考, 鈴木弘一, 服部良平, 加藤久美子:Diamond-Blackfan 症候群の女児に対して腹腔鏡下腎摘除術を施行した1例.泌尿器紀要 62: 193-196, 2016

9) 永山洵、加藤久美子、松井宏考、佐野友康、平林裕樹、鈴木省治、山本茂樹、鈴木弘一、服部良平: 帝王切開後の膀胱子宮瘻に対しLH-RH アゴニストが奏功した1 例  日泌尿会誌 108:114-117,2017

10) 服部良平 新腎・泌尿器癌(上)-基礎・臨床研究の進歩-】 腎盂尿管癌 腎盂尿管癌の治療 手術療法 腎盂尿管癌に対する体腔鏡下手術 日本臨床 490-496,2017

11) 山本徳則、鈴木晶貴、服部良平他 大動脈石灰化マーカ 日本腎泌尿器疾患予防医学研究会誌 25:61-63,2017

12) 山本徳則、服部良平 他 【画像診断Imaging Approach】馬蹄腎の3D血管イメージングと3Dプリンターを用いた臓器造形-馬蹄腎に伴った左下極腎細胞癌手術 Nephrology Frontier 14:252-256,2015

13) 山本茂樹、鈴木晶貴、鈴木弘一、鈴木省治、加藤久美子、服部良平 当科における腹腔鏡下腎摘除・経膣的摘出術の初期成績 日本泌尿器科学会雑誌 106:151-155,2015

14) 服部良平 他 「エンドウロロジー・腹腔鏡:泌尿器科腹腔鏡手術ガイドライン」 腎癌に対する腹腔鏡下腎部分切除術のガイドライン. 2014

15) 服部良平 他 「エンドウロロジー・腹腔鏡:泌尿器科腹腔鏡手術ガイドライン」 腎癌に対する腹腔鏡下根治的腎摘除術のガイドライン. 2014

16) 藤田高史、服部良平 他 7cmを超える腎癌に対する鏡視下腎摘除術の検討 Japanese Journal of Endourology 27:128-131,2014

17) 服部良平 ロボット支援腎部分切除術導入のメリット, デメリット Japanese Journal of Endourology 26:2-6,2013

18) 服部良平 腎部分切除術の普及と問題 Phama Medica 30, 37-40,2012

19) 服部良平 腎盂尿管癌 日本臨床 17 660-663、2012

20) 服部良平 腎盂尿管癌の手術療法 腹腔鏡手術 日本臨床 68 411-415,2010

21) 服部良平 ハンドアシスト法による腹腔鏡下ドナー腎摘除術 腎移植・血管外科20(2)、91-95、2008

22) 服部良平 泌尿器科領域の腹腔鏡下手術 今日の治療指針 821-822、2008